グレーチングの透水技術安全協会は、側溝に革命をおこします

2014/10/23 産経新聞に掲載されました

2014年10月23日(木)産経新聞

透水技術安全協会を設立 水通す舗装材で洪水防止

雨水を地中に逃がす独自の舗装材などを活用して洪水・浸水対策や生活環境の改善につなげるため、建設会社や土木用資材メーカーなどが任意団体「透水技術安全協会」(大阪市西区)を立ち上げた。特殊な接着剤で天然石や砂利を固めた舗装材には無数の穴が開いており、通常のアスファルト舗装と違って、水を通す能力「透水性」が高いのが特徴だ。豪雨時などに下水道や河川への流入量を減らす効果があるといい、同協会は「技術を独占することなく、多くの企業に使ってもらうことで普及を加速させたい」と意気込んでいる。

■高い透水性と強度  「圧倒的な透水性と従来の舗装材にない高い強度を兼ね備えている」同協会の近藤会長はこう胸を張る。同協会によると、この舗装材は、従来の透水タイプのコンクリート比で3倍程度の透水性を国内の公的研究機関で確認し、強度は25トンの大型車両の過重に耐えることを実証したという。この舗装材の開発の決め手になったのは、繊維化合樹脂開発・販売のファイン化成(大阪市中央区)が開発した特殊な繊維を混ぜ込んだ接着剤だ。同社の高森省三社長は「土壁が藁スサを混ぜ込むことで強度を増すことにヒントを得た」という。建設会社を経営する近藤会長が、この接着剤が安定した強度を均等に保つ特性があることに着目し、天然石や砂利を固めた舗装材への応用に取り組んだ。試作したところ、石や砂利をネット状の立体構造できっちり固めたうえ、水を通すのに十分な隙間を確保するのに成功し、実用化のめどをつけた。近年、ゲリラ豪雨や台風などによる洪水・浸水被害が相次ぐ背景に、市街化区域の拡大があると指摘されている。コンクリートやアスファルトで地面が広く覆われた結果、雨水は地面が吸収できずに下水や河川に直行。短時間に降雨が集中すると下水道の処理能力を超え、洪水・浸水につながる。同協会の嶺井政範事務局長は「この舗装材の普及が河川や下水施設の雨水流量のピークを抑制することから防災・減災に有効だ」と強調する。

■様々な用途に応用  同協会の透水技術の用途は舗装材にとどまらない。透水性の高い側溝蓋も製品化。石や砂利で表面を覆っているため、従来の金属の格子状の側溝蓋と違って車いすやベビーカーの車輪の落ち込み防止とともに、歩行中のスリップを防ぐことができるという。水は金属製の側溝蓋並に通すが、蓋の表面を石などで密閉するためデング熱のウイルスを持つ蚊やセアカゴケグモなどが繁殖する水たまりを“封鎖”。暑い日は地中からの水蒸気を放出しやすいためヒートアイランド現象の対策も期待されている。同協会は、この接着剤を使って山間の危険な場所の岩石を固定することで落石防止につなげたり、降り続いた雨が山の斜面崩壊や土砂災害を引き起こすのを防ぐため、地中に導水杭を打ち込んで水を分散させたりする研究も進める。

■独占せず普及優先  同協会は3日に大阪市内で発足式を開き、今後も透水に関する技術や製品を提供することで安全で快適な生活環境づくりに貢献することなどを確認した。すでに舗装材や側溝蓋の特性に注目して導入する自治体やマンション開発業者などの採用が進んでいるといい、協会発足を機に普及を本格化させる。嶺井事務局長は「一企業が独占するのではなく、協会の形にして普及を優先する。最低限の使用料で技術を開放して参入企業を増やしたい」と説明。現在、一般社団法人の認可手続きを進めているという。